「観光の哀しみ」 酒井順子
「負け犬の遠吠え」でおなじみの酒井さんのエッセイ。
かなり昔に書かれたもの。
これもまたブックオフで安かったので、読んでみた。
わたしは基本的に観光はしない。
出かけるときはカヤックか自転車かスキーをしに行くからだ。
観光そのものが好きじゃないっているのもある。
そもそも、観光って楽しい?
観光に出かけて、なんだか居心地の悪いかんじがするのは、なぜ?
それは「呼ばれてもいないのにのこのこ出かけてきてるから」。
・・するどい。
海外旅行における日本人男性の心元なさ。
これは「負け犬の遠吠え」へ考察が続いてるかんじがする。
なぜ最近の女性は結婚しないのか?
ここにその答えの片鱗が。
京都は観光されることで成り立っている街だけれど、実はランクによって隔離されている。
(これは最新作「都と京」へ考察は繋がっている)
などなど。
一緒に旅行へいく同姓の友達は、「自分が男だったらこの人とセックスできるか?」がカギだという。
ちなみに、男女の間だったらすでにそれは考えられてるはずだから、旅行しても問題ない。
うーん、いいえて妙。
四六時中一緒にいるわけだから、好きな相手とじゃなきゃあ旅行なんてできない。
同姓との旅行はこのへんが忘れがち。
でも大事なことよね。
酒井さんは上品な語りでありながら、かなり鋭くずばずばと本質をついている。
作者は、「いいところのお嬢さん」っていうイメージがあったのだけれど、一人旅は着替えを持っていかないとか、テント泊もオッケーとか、意外な一面がなんだかうれしい。