「弱くても勝てます」 高橋秀実
頭のいいひとってどういう風に考えているんだろう?
凡人にはちょっと話をしたくらいじゃわからない。
「野球」というフィルターをかけると、ちょっとだけ垣間見えるみたい。
秀才の多い開成高校野球部のルポ。
東東京地区でベスト16まで残ったことのある野球部なのだ。
(しかもその時に負けたチームが優勝した)
でも、グラウンドが使えるのは週に1回だけ。
しかも試験週間になると、あしかけ2週間は部活動禁止になるとか。
そんな少ない練習時間で、どうやって勝てる(←「強い」わけではないのです^^;)チームになりえたのか?
まず、監督が個性的。
守備では、追いつける球だけ確実に取る練習のみ。
大きく跳ね上がったりするような球は「例外」として練習しない。
攻撃は、大きく振りぬく。
どさくさに紛れて大量得点を狙う。
こんなかんじなのだけれど、試合ではツキがめぐってくると、大勝できているのだ。
守備に関しては、ビジネスでもいえることだなーと思った。
すべてをカバーするのではなくて、確実に起こりうることを手厚くする。
例外的に起こることに関しては、潔く捨ててしまってもいい。
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生徒たちも独特。
考えるロボットみたい。
野球をスポーツとしてじゃなくて、別のものとしてとらえているみたい。
練習方法にしても技術についても論理的なのだ。
「苦手と下手は違うんです。苦手は自分でそう思っているということで、下手は客観的に見てそうだということ。僕の場合は苦手ではないけど下手なんです」
といった調子。
みんな家で素振りをしたり、それぞれが独自に考えて練習しているところが、涙ぐましい。
ただ、視野が狭く、考えすぎて反応が遅くなってしまっているのかな、とも思う。
反射的に何かをするとか、まわりをよく見るとか、他人がどう思うのかを考えるとか、そういった一般人が普通にやっていることができていない部分もある。
とはいえ、挫折を味わうこともたくさんあるだろうし、こういった部活動はとてもいいことだと思った。
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頭のいいひとは凡人には思いもよらないことを考えていたりします。
それを読むだけでも得した気分。
おすすめの一冊!