「始祖鳥記」 飯島和一
9年前に出版されて、すでに文庫化されて久しい。
いろんな書評で評判だったのだけれど、時代小説はなんだかとっかかりにくくて、「積ん読」になっていました。
西湖へでかけるので、この一冊をお供にしました。
舞台は江戸末期。
鳥のように飛びたいと挑んだ表具師は、幕府に対する反抗と誤解され、捕まってしまう。
好きなのは第二部。
所払いの処分を受けた主人公が、舟に乗り、岡山から神奈川までを航行する。
星を読み、天気を読み、台風と戦う。
木と布でできた船で航海する昔の人は、すごかったんだね。
遠州灘、熊野灘、など、航海が難しいからこういう名前だったのか、と再発見もあったり。
荷物の運搬には利根川などの川も有効に活用されていた、と改めて知ったり。
地図をたどりながら読み進み、どきどきした。
誤解されたまま噂となった表具師の存在が、いろんな人に勇気をあたえ、国をひっくり返さんばかりのことが始まっていく。
いろんな意味ですごくいい小説だった。
海を航海するシーカヤッカーなら、もっともっと共感できるんじゃないのかな?
おすすめです。