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晴漕雨読、ときどき山林

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報道ではわからないこと

「趣味は読書です。」
というひとに出会ったら、必ず尋ねるのがおススメの本。

先日、講習に参加していただいたKさんのおススメがこれ。
「謎の独立国家ソマリランド」 高野秀行

いやー、おもしろかった。

紛争地域のイメージがあるソマリア。
その隣にあるソマリランドという国は、銃を携行しているひとすらみかけないくらいに平和なのだとか。

そのカギは、「氏族社会」。

もともと遊牧民として生活をしていたので、住所の代わりに氏族の系列名で自分の立ち位置を表しているお国柄。
何族の何分家の何分分家の何分分分家の‥といった調子でその系列でだいたいどういった背景の人物なのかがわかる仕組みとなっている。

ソマリランドが平和なのは、この氏族の長老たちの話し合いによってなのだとか。
例えば、男を一人殺したらラクダ100頭、女を一人殺したらラクダ50頭を相手の氏族に支払うという決まりがある。
だから、報復合戦にならず。ラクダのやりとり(現在は現金化されている)で解決出来る仕組みとなっている。

また、イザコザがあったときに氏族内の女性を相手氏族へ嫁へ出し、孫ができることによって憎しみをなくす、なんてこともやるらしい。
きっと、氏族間の紛争が長らく続いてきたからこそ、工夫されてきたのだろう。

その氏族社会が占領国によって壊された南部ソマリアは、そういった話し合いがもたれず、力と力がぶつかり合って、なかなか平和をとりもどせないのだろう。

中には冷遇されている氏族もあるという。
その氏族は、氏族社会には反対で、また海外へ出たらソマリアには戻りたがらないのだとか。
まあ、そりゃそうだよね。

***

ソマリランドのほか、南部ソマリアやプントランド、海賊がなぜなくならないのか、など日本からはわかりえない、現地へ直接いったからこその見聞もおもしろい。
海賊については、お金になるからなのだそうだ。

ソマリア人は、他人に興味がなくてせっかち、お金第一、というのも実際につきあってみないとわからない。

現地のひとに話しをきくために、「カート」という覚醒作用のある植物を食べるシーンが頻繁に出てくる。
ラクダ料理とともに、体験してみたいかも!

by megumi510 | 2014-10-04 19:46 | 読書